ToyToy屋

手紙

先日、某大学に非常勤講師として講義をさせていただいた。

僕は自分の幼い頃からの差別経験なども含めて講義を行ったのだった。

僕の幼い頃の経験は、同じ様な経験をした人達には危険な事でもある。

僕の幼い頃の体験を聞き、自分の中で封印したはずの経験がフィードバックしてしまう人達もいるからです。

そんな事も知っているはずだったのにね、僕は一人の学生が封印していたはずの、過去の傷に塩をもってしまった。

その学生は一番前の席に座っていた。僕は彼にトンコリを弾くかい?と声をかけた。

彼は酷く怯えた顔で怖いと僕に言って来た。僕もそれ以上踏み込まなかった。

それが僕と彼のファーストコンタクトだった。そして僕も尋常じゃない彼の中にある物を感じとった。

講義が終了後、彼は僕の前に現れた。そして手紙を僕に手渡してくれた。

僕は彼に聞いた、今読んだ方がいいかい?それとも後で読んだ方がいいかい?

彼は後で読んで欲しいと僕に言って、その場がら消えて行った。

その夜、僕は覚悟を決めて手紙を開いた。

彼が幼い頃に経験した辛い過去の経験が手書きで綴られていた。

過去の経験を許せない自分自身の辛さも書かれていた。

そして、今現在の思いも書かれていた。僕も読んで泣いた。

そして、この手紙を書き、僕に手渡した彼のありったけの勇気を感じ取った。

あれから、毎日、彼の事を考えている自分がいる。

彼に手紙を書くべきか、それとも会って話すべきか。

僕の幼い頃のイジメより、深い傷があるのかも知れない。

でも彼はありったけの勇気を振り絞って、僕に手紙を手渡してくれた事。

僕は彼に返さないといけない事がある。

もし、彼が僕を頼ったのなら、僕は彼と向き合いたい。

彼を思うと目頭が熱くなる。そして感謝の気持ちもある。

彼に出会えた奇跡がある。彼が将来どんな人間に成長して行くのか、僕は楽しみだから。

乗り越えれない壁なんて無い。酷い経験をした分だけ、人には優しくなれるはずだよ。

僕は彼に会いたい。



今日も最後まで読んでくれて、イヤイライケレ〜。

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